苦しみの花嫁は、囚われ、愛でられ、やがて真実の愛を知る(甘実) 苦しみの花嫁は、囚われ、愛でられ、やがて真実の愛を知る(甘実)ネタバレ・あらすじ・感想
名門一族に連なる家に、将来の繁栄を担う“妖異の血”を宿す長女として生を受けた沙和。しかし彼女は内向的で臆病な性格ゆえに、その力――とりわけ“情動と深く結びつく性質”を思うように扱うことができなかった。やがて、力の制御に長けた妹が誕生すると、沙和の立場は一変する。家族からは期待を外した存在として扱われ、使用人にまで軽んじられ、息をしていることさえ許されないかのような日々。彼女の世界は、静かで冷たい絶望に塗りつぶされていった。それでも心が折れずにいられたのは、紫苑という謎の人物がいたからだ。出自も素性も知れない彼との再会はごく稀で、いつも短い時間に限られていたが、そのひとときだけは沙和に温もりを与えてくれた。光の届かない場所で、確かに存在した小さな救い。それは沙和にとって、過酷な運命に抗いながら生き続けるための、唯一無二の支えだった。