バッドエンド回避したら推しが××される世界だった(もっちりもち子) バッドエンド回避したら推しが××される世界だった(もっちりもち子)ネタバレ・あらすじ・感想
目を覚ましたその瞬間、彼女は悟る。ここはただの夢でも妄想でもない――自分は乙女ゲームの世界に転生した“ヒロイン”、リリーなのだと。だが、与えられた立場は祝福ではなかった。物語がすでに進んだ先は、ヒロインが儀式の供物として捧げられる最悪の分岐点。甘い恋と幸福な結末を約束されたはずの存在が、絶望へと直行する運命のただ中に立たされていた。逃げ場のない館。迫り来る終焉。未来を知るからこそ、抗えない展開に心が折れかけたそのとき――彼女の前に現れたのは、かつて画面越しに愛した“推し”、ルシアン。彼は冷静に状況を見極め、誰にも悟られぬようリリーを外へ逃がそうと手を差し伸べる。閉ざされた廊下を抜け、重い扉を開き、わずかな自由へと導くその姿は、物語の中よりもずっと鮮烈だった。しかし、運命は甘くない。逃走の途中、他の攻略対象たちに見つかり、計画は阻止されてしまう。再び閉じ込められるリリー。希望は、またしても砕かれた。静まり返った部屋で、途方に暮れる彼女の目に留まったのは、壁の片隅に開いた小さな穴。縋るように覗き込んだその先で、信じがたい光景を目にする。薄暗い天井から鎖が伸び、その先に吊るされているのは――ルシアン。自分を逃がそうとした代償なのか。それとも、最初から仕組まれていた罠なのか。守られるはずだったヒロインと、救おうとした攻略者。運命の歯車は、音を立てて軋み始める。これは、定められた破滅に抗う物語。そして、“推し”を救うためにヒロインが選ぶ、新たなルートの幕開けである。