嗤う狼は約束を忘れない(疋田チヨ) 嗤う狼は約束を忘れない(疋田チヨ)ネタバレ・あらすじ・感想
深い森で静かに暮らしていた少女・リリィベルは、倒れていた獣人の青年を偶然見つける。彼の名はテール。命は助かったものの、過去の記憶がすっぽり抜け落ちていた。行く宛ても思い出せない彼を放っておけず、「思い出すまでの間だけ」とリリィは自宅での生活を許す。礼儀正しく穏やかなテールは、森の生活にすぐに馴染み、リリィの毎日に温かな変化をもたらしていく。ともに食卓を囲み、森の小さな出来事を分かち合ううちに、リリィの胸には、気づけば恋の芽がふくらんでいた。ただひとつ、心を曇らせるものがある。――テールの記憶が、一向に戻らないこと。記憶を取り戻せば、彼はいつか自分の元を離れてしまうのだろうか。そう考えるたび、リリィは“このままずっとそばにいてほしい”という切ない願いを抑えきれなくなっていく。記憶喪失の青年と、森で暮らす少女。期限付きの同居が、やがて二人の運命をそっと変えていく――。