筆おろしデリバリー(さんじゅうろう)

最近、ある配達先でよく顔を合わせる男の子がいる。物腰が柔らかく、どこか人懐こい笑顔が印象的で、会うたびに心がふわっと温かくなる。届け物はちょっと大人な品だけど、彼がそれを恥ずかしそうに受け取る姿も、なんだか微笑ましい。最初はただのお客さんだったはずなのに、自然と彼のことが気になり始めていた。「もっと知りたい、近づきたい」そんな気持ちが少しずつ大きくなっていく。ある日、彼が私の目元をちらっと見て、ふと照れたように目を逸らした。その仕草がなんとも純粋で可愛らしくて、心が高鳴るのを止められなかった。勇気を出して声をかけると、彼もまんざらでもない様子で…。私たちはゆっくりと、けれど確かに心を通わせ始める。大人のものに囲まれた出会いだったけれど、本当に求めていたのは、お互いの心だったのかもしれない。