怖くて甘いくちなー様に絆され、堕とされ、犯され──(たかぶち) 怖くて甘いくちなー様に絆され、堕とされ、犯され──(たかぶち)あらすじ・感想
骨を失くした指と、思い出せない約束。―帰郷した彼女を待っていたのは、人の姿をした“怪異”だった。十数年ぶりに生まれ故郷の海辺の町・星崎へ戻った会社員、日代琴葉。過去の記憶がどこか曖昧な彼女は、到着早々、車の接触事故に巻き込まれそうになる。危機一髪のところで助けてくれたのは、フリーで活動しているという物腰柔らかな青年・秋月秀だった。礼を兼ねて食事に誘った琴葉は、地元に伝わる不気味な言い伝えを彼から耳にする。――「この町には、眠っている間に骨を一本ずつ奪う“くちなー様”という妖がいるらしいですよ」冗談めかして語られるその話に、琴葉は軽く笑って、何気なく自分の手を見せる。「私、ここ……小指の関節だけ、なぜか骨がないんです。生まれつきって言われたけど、不思議ですよね」その一言を境に、秋月の穏やかな表情は一変する。瞳の奥に、底の見えない暗闇が灯った。「……やっと見つけたよ。逃がすわけないじゃないか」実は秋月の正体は、人間の姿を借りて暮らす“くちなー様”本人だった。琴葉が幼いころにかわした“ある約束”を果たすため、長い時をかけて彼女を探し続けていたのだ。「琴葉……君は僕と、夫婦になるって言ったんだよ?」意味のわからぬまま身体を拘束され、熱を帯びた囁きに心を乱される琴葉。だが、どれだけ記憶を掘り返してもそんな約束を交わした覚えはない。琴葉の混乱に構わず、秋月は深い失望と狂気を滲ませた声で告げる。「なんで忘れてるの……?ああ、俺がバカだった。人間なんかに惚れて、信じてたなんて」「……思い出すまで、何度でも“愛して”あげるよ」逃れられない因縁。忘却の代償として、琴葉は“神”に選ばれたことを全身で思い知らされていく――。