公有物少女3～国から人権を剥奪され物として扱われる女の子の話～三日目編(ゆきむら丸)

かつて人権は誰もが持つ当然の権利だと信じられていた。だが、社会構造が崩壊し、国家が絶対的な秩序を維持するために「資源配分制度」を導入してから、物語は大きく変わった。少女・ナギは、16歳の誕生日を迎えたある日、突然“使用資産対象者”として国家管理の施設「第三区監査塔」に移送される。そこは、政府の定めた特別法のもと、「人」としての権利を一時的に停止された者たちが、特定の任務や役割に従事する場所だった。第3日目の朝。目覚ましが鳴る前に起きられなかったナギは、行動不履行の印として“刺激処置”を受ける。管理AIが常時監視する中、彼女たちは徹底的な規律訓練を課され、日常生活の一つひとつにすら命令が絡む。衛生処理、栄養補給、睡眠時間…すべてが管理対象であり、個人の意思は許されない。その日、ナギたちは「適応行動訓練」のオリエンテーションに参加させられる。教育用に最適化された先輩被験者たちがデモンストレーションを行い、何が“理想的な奉仕”なのかを叩き込まれる。だが、それは単なる訓練ではない。違反すれば、地下にある「再教育室」に送られるという現実を突きつけられる。そこでは、かつて命令に従わなかった者たちが、人格すら消えるほどの精神圧迫を受けながら“完全な道具”に作り変えられていた――。