姫様に忠誠を誓ったはずの軍人は、逆に誓いを求める狂犬になりました(はとペア)

姫様に忠誠を誓ったはずの軍人は、逆に誓いを求める狂犬になりました(はとペア)

姫様に忠誠を誓ったはずの軍人は、逆に誓いを求める狂犬になりました(はとペア)ネタバレ・あらすじ・感想

王女としての運命と、封じ込めてきた過去の想いフェルシア王国の第一王位継承者として生まれた少女、シア。将来の女王として期待を一身に背負いながら、その立場が彼女に重くのしかかっていた。表立った対立こそないが、従弟が王位に対して強い意欲を持っていることもあり、シアの胸の内はいつも穏やかではいられない。しかし、彼女の心を最もかき乱しているのは政治でも王位でもない――幼い頃の遊び相手であり、今や大人びた青年となった「ロウ」の存在だった。かつて兄のように慕っていたロウは、名門カーティス家の後継者。父同士の交流もあり、自然と兄妹のように育ったふたりだったが、成長とともに距離が変わっていった。頼もしいと感じていた彼の言動は、ある時から窮屈な「束縛」に見え始める。彼の視線に感じる熱、それが恋情に似たものであることに気づいてしまった時、シアは彼から距離を置くようになった。そうして保っていた均衡が、突然崩れる。「どうして、今さら彼が私の護衛に?」ロウは既に軍で大佐という地位に就いており、本来なら宮廷で姫の警護など担う立場ではない。ましてや、城内に護衛を付けたことなど、これまで一度もなかったのに。混乱する気持ちを抑えながら、シアは思う。――今は、隣国の貴族との極秘の婚約話が進んでいる大事な時期なのに。誰にも、特にロウにはこの話を知られてはならない。この政略的な婚約がまとまれば、王位を巡る不安は解消され、従弟に王座を譲ることもできる。自分も王女としての重責から解き放たれ、父の体調への負担も軽くなるはずだと信じていた。けれど――「婚約は破棄だ」そう父が告げた瞬間、シアの未来は崩れ去った。さらに追い討ちをかけるように、「新たな婚約相手はロウだ」と宣言された時、息を呑んだ。ロウは静かに、だが確信を持って言う。「姫が自分の意志で俺を選んでくれると、ずっと待っていました。でも裏切られたのなら、こうするしかありませんよね」その目に浮かぶのは、優しさではなく、執着と征服の光。「お気づきでなかったですか?姫の味方は、もう誰も残っていません。すべては俺の掌の上――」そう言い放つ彼の声音は、かつて兄のように優しかった面影を残しながらも、抗いがたい闇の深さを含んでいた。「だからもう、抵抗はやめて。俺のものになってください――姫。」
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