身代わりになった祠おじさんが私を掴んで離さない(柚木マチ) 身代わりになった祠おじさんが私を掴んで離さない(柚木マチ)ネタバレ・あらすじ・感想
――あれは、10年前のことだった。山道の奥、誰にも気づかれずひっそりと佇む、風化しかけた古い祠。私は、偶然その前に立っていた。崩れかけた祠に手を触れた瞬間、小さなひびが広がるのが見えた。けれど、私は怖くて、どうすることもできなかった。ただただ、目の前の“壊れゆくもの”を見つめていた――そのとき。「壊したのは俺だ。彼女じゃない」そう言って、私の代わりに罪をかぶってくれた、あの人。あの瞬間の背中と、差し出された勇気を、私は今も、心の奥から消すことができないでいる――…。